頭の中の楽園

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【New Radicals】「刺さる」音楽はいつだって時代も言語も超える

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たった1曲でロック小僧を撃ち落とした

New Radicalsというバンドがいた。

アルバム一枚で解散してしまったが故に一発屋の烙印を押されている時もあるが、彼らのヒット曲「You Get What You Give」は世界中の音楽小僧、そしてかつて小僧だった全ての人間の心をかき乱した。

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ラジオでこの曲が流れた瞬間に、俺の心がめったくそに刺された事を覚えている。ノリの良さ、ハートの強さ、どことない危うさ・・・俺の求めるロックがそこにあった。

悩めるティーンエイジャーの代弁者とも言うべき歌詞

歌詞を読み解いていくと、この楽曲は悩めるティーンエイジャーに寄り添う応援歌とも言うべき内容だ。しかしティーンエイジャーの悩みと大人の悩みというのは本質的な違いは無いと思う。生き方、未来、人間関係、病、不安・・・すべて大人だって抱える問題だ。

Frienemies, who when you're down ain't your friend
Every night we smash a Mercedes-Benz
First we run, and then we laugh 'til we cry

友達のフリしたヤツは、いつだってお前が辛い時に裏切るんだ

そんなヤツらのベンツをぶっ壊して、ダッシュで逃げて泣く程笑おうぜ

今だからこそわかる。中途半端に友だと思っていた奴なんて、俺がオイタをすれば途端に手のひら返してぶっ叩くだろう。だからこそ、どんな時も繋がっていてくれるであろう友でなければ友とは言えないんだ。

But when the night is falling
You cannot find the light (light)
You feel your dreams are dying, hold tight

でも夜になって、光が見えなくて、夢さえも死んでしまいそうな時は、強く抱きしめろ

You've got the music in you
Don't let go, you've got the music in you
One dance left, this world is gonna pull through
Don't give up, you've got a reason to live
Can't forget, we only get what we give

お前の中には音楽がある

絶対に手放すな、お前の中には音楽がある

ラストダンスでこの世界を切り抜けられるかもしれない

諦めるな、お前には生きる理由がある

忘れるな、誰かに与えた分しか得られないってこと

人間は本質的には孤独だ。そして、ロック小僧は大人になって、現実を知ってもなおくだらない夢を見続ける。それがロックから、音楽から教わった事だから。「与えた分しか得られない」はこの曲のタイトルでもある。至言だと思う。

Health insurance rip off lying
FDA big bankers buying
Fake computer crashes dining
Cloning while they're multiplying
Fashion shoots with Beck and Hanson
Courtney Love and Marilyn Manson, You're all fakes

Run to your mansions
Come around
We'll kick your ass in!

健康保険は嘘ついて金儲け

FDAは銀行員に買収されてる

偽物のコンピューターがダイニングを破壊する

紛い物は増え続けている

流行りの連中 ベック、ハンソン、コートニー・ラヴマリリン・マンソン、全部偽物だ

お家に帰りやがれ

近くに来たら、ケツを蹴っ飛ばしてやる!

最終節は社会風刺が入る。世の中の金持ちへのアンチテーゼはロックの基本だ。しかしハンソンに関してはNew Radicalsのメンバーよりもはるかに年下だろうに、普通にぶっ叩く辺りが凄い。

 

トゲを纏いつつも、聴くものを包み込む

中島みゆき「ファイト」に救われた日本人は多いだろう。New Radicalsも、たくさんの人間を救ったに違いない。ロックが本来持つトゲを持ち、どうしようもない敵に対して中指を立てつつ、聴く者の心を包み込むメロディーとリリックが色あせる事は無いだろう。人はどうあっても不安を消す事は出来ない。その葛藤を肯定し、優しく励ます音楽の本質がここにある。

さあ、与えに行こうか。