頭の中の楽園

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マイケル・ジャクソンに見る「死人の墓掘り起し商法」の是非

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6枚。

これは、マイケル・ジャクソンが1979年にソロアーティストとして再出発してから、2009年に亡くなるまでに残したオリジナルアルバムの数だ。同世代のプリンスがデビューしてから亡くなるまでの30数年間で40枚以上のアルバムを出している事から考えても、30年間で6枚というのは少ない方だろう。

マイケルが無くなってからもう10年以上が経つ。だが未だに彼の音楽は俺達の心を掴んで離さない。だからこそ、マイケルが亡くなってから彼の遺した音源を用い、リミックスを施して2枚のアルバムが誕生した。

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まずは「Michael」。これはマイケルが亡くなって割とすぐに出た。

この作品は叩かれた。マイケルの声に加工を施して、今風のサウンドにしてしまった事が旧来のファンの怒りを買ってしまったように思う。俺自身も、このアルバムはほとんど聴かない。

また、このアルバムに収録された楽曲のうち3曲は「マイケルの物まね芸人が歌っているのではないか」などという訴訟まで起こされ散々だった。

ちなみに「Behind The Mask」のカバーが入っているのでYMO好きならば一聴の価値ありです。

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次に「Xcape」。これはかなり後に出た。ただこちらの作品には「Love Never Felt So Good」というキラーチューンがあったため扱いが先述の「Michael」とはかなり違っていた。ジャスティン・ティンバーレイクとマイケルを疑似的にデュエットさせたバージョンは世界的にチャート入りしたし、オリジナルを発展させたバージョンはアルバムのオープニングを飾っていた。

「Michael」がマイケルが生前に残した最後のアルバム「Invincible」から亡くなるまでの間の楽曲にメインのフォーカスを当てたのに対して、「Xscape」はThriller前後の楽曲からInvincible期の楽曲まで幅広く収録し、またリミックスもツボを押さえており、なおかつ素のトラックをボーナストラックとして収録していたのが良かった。つまり、「Xscape」は聴衆に受け入れられた結果となった。

 

この結果から見るに、ミュージシャンが亡くなった後に遺された楽曲を発表して行く事がいかに難しい事かがよくわかる。

そもそもマイケルがとてつもない完壁主義だという事は生前から知られていたため、こういった形でボツにした楽曲を世に出される事を本人が望まないであろうことは想像に難くない。

だが、それでもマイケルの楽曲をもっと聴きたいというのがファンの本音なのだ。本音なのだが、中途半端なくらいならばいらない、という二律背反を兼ね備えた面倒臭さがある。ファンというのはいつの時代も面倒だ。だからこそ、墓を掘り起こすのならば天国のマイケルがOKを出すくらいの作品としてリリースして貰いたいものなのだ。ファンは面倒臭いが、手のひら返しも早い。